前立腺の全摘出手術を受けてから、もう一月が過ぎました。多くの方が術後しばらくすると改善すると言われる尿漏れですが、残念ながら私の場合は依然として日常生活に影を落としています。これは、経験した人にしか分からない辛さかもしれません。
先日も、気心の知れた友人に最近の体調を聞かれた際、意を決してこの尿漏れの現状を少し詳しく話してみました。ただ単に「漏れる」というだけでなく、それがどれほど不意で、どれほど生活の質を下げているのか、精神的にもどれだけ負担になっているのかを、言葉を選びながら伝えたつもりです。
しかし、彼から返ってきたのは、予想もしなかった言葉でした。
「あー、それね！そんなの僕も一緒だよ。年取るとさ、トイレに間に合わなくてチョット濡れたりよくするよ。」
彼の文面に悪気がないのは分かります。むしろ、私を励まそうと、仲間意識を示そうとしてくれたのかもしれません。
ですが、その瞬間、私の心の中では大きなため息が漏れました。
「いや、その『チョット』とは訳が違うんだ…」
手術後の尿漏れは、加齢によるものとはまた質が異なります。自分の意思とは関係なく、本当に些細なきっかけで、時には大量に漏れてしまうこともある。24時間常にパッドが手放せず、交換場所の心配、臭いの心配、服への染みの心配…と、頭の中は常に尿漏れのことでいっぱいです。それは、彼が言う「トイレに間に合わなくてチョット濡れる」というレベルとは、残念ながら次元が違うのです。
彼の言葉は、慰めになるどころか、私の抱える問題の深刻さを軽んじられたような、そんなやるせない気持ちにさせました。まるで、必死の訴えが、ありふれた「あるある話」として処理されてしまったかのような感覚です。
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