---  その命 永遠に ---

--- その命 永遠に ---

 

幸せすぎる日差しが皆に降り注ぐ昼下がり

母がこぐ自転車の後ろで心地よい風を受け
母の背中に文字を書いてみた
背中で笑う母の笑顔に
また書いてみた

母と娘はお互い顔は見えなくても
お互い言葉は交わさなくても
心と心は通い合っていた

その時までは・・・

白と黒のゼブラの横断歩道が
一瞬にして赤く染まっていく
母は娘の名前を呼ぶこともできず
娘は「お母さん」と呼ぶこともできず
永遠に目を開けることさえかなわない

この道を渡れば幾千幾万の幸せが
両手を広げ二人を待っていてくれた

はずだった

その幸せにもう二度と包まれることはない
儚いだけでは終わらない命を

どうか忘れないでほしい

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