喜怒哀楽

友が病床について24年が過ぎた。
あの日たった一日無理を押して仕事に行ったがために、ウイルスに体が負けた。
全身の痙攣を抑えるために、強い注射を打ったらしい。その本数は人間が耐えうる限界を超えていた。
でも、友は耐えた。耐えて復活した。病院生活は強いられたけれど車いすに乗り、会話も普通にできるまでになった。
しかし、病魔はそんな彼に何度も襲い掛かる。そのたびに、彼は耐えた。
耐えて耐えて、今もなお、ベッドに横たわっている。
その間、父親も亡くなり、奥さんも病に倒れ、娘も去っていった。
今、老齢の母親が彼の面倒を見ている。母親が居なくなったら、彼はどうなるのだろう。
奥さんも携帯電話を持つのもやっとの状態。
この24年間。何もできず。
見守るのが精一杯の私達家族そして仲間。
そんな母親から電話がかかってきた。
もう、次に何かあっても延命措置はしない。
というのです。
一つの選択がなされた。
死の淵を彷徨いながら、それでも、彼は今も生き抜いている。

こんなアップをしてから5年が過ぎたのだろうか・・・。
長い長い29年の日々が過ぎた。
今年はお互い還暦になる年なんだなぁ。
一昨日買い物に行く車の中で、ふと思った。長いこと会っていないなぁ。
今度会いに行こうかな・・・。

その日は、二男が孫を連れてお泊まり。お母さんは体調が悪くて来られなかったけれど、
そんなことでは泣かない孫は可愛い。
ついついお酒も量が増え、日にちが変わる頃には爆睡。
それから3時間くらいが過ぎたのだろうか。
床の横に立つかみさんが声をかけてきた。
「起きてる? ○○が亡くなったって。」
慌てて携帯を見ると、彼の奥さんからの着信履歴。
彼の奥さんも歩行が困難なくらい身体が悪い。
電話も持てない状態の中、私に連絡をしてくれたんだろう。

今、慌てても仕方が無い。
夜が明けるのを待とう。
眠りが遠のいた夜がやがて明けていく。
友人たちと連絡を取り合い彼の顔を見に行くことにした。
2017年5月4日 また忘れられない一日ができてしまった。

彼の看病のために全てを捧げた彼のお母さん。
彼がいなくなって人生の目的を失って大丈夫なのだろうか。

動くこともままならない彼の奥さん。
寝たきりの彼と離婚もせずにいてくれた。
彼女も大丈夫なのだろうか。

今はまだ何も分からない。

コメント

  1. ご友人のご冥福をお祈りいたします。

    ご家族の方は、
    ポッカリ穴が開いてしまったかもしれません。
    でも、きっと何か目標を見つけられると思います。
    だって、24年間と言う長い年月を
    しっかり生きていらっしゃったんですもの。

  2. nassu より:

    そうですね

    友人がいなくなった今

    ご家族とどのくらいのお付き合いができるか分からないですが

    心には留めておきたいですね :)

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